2016.06.13
渉外相続手続きについて①(相続の準拠法)
グローバル化の時代と言われて久しいですが、相続手続きでも海外とのやり取りが珍しくなくなってきました。日本人が海外で活躍することは非常に好ましいことでありますが、こと相続となりますと手続きのハードルが少しあがってしまいます。被相続人や相続人が相続発生時に海外に住んでいたり、外国籍を取得している場合には、特別な手続きが必要になるのです。
まず、海外との相続手続きを考えるときに、どの国の法律が適用されるのかを考える必要があります。各国の法律で相続に関する準拠法の定めがあり、だいたい次のいずれかになっています。
①被相続人の本国法による
②被相続人の最後の住所地の法律による
③動産については被相続人の最後の住所地の法律、
不動産については不動産所在地の法律による
日本は①を採用していますので、日本人が海外のどこで亡くなっても日本の法律に基づいて処理されます。韓国、台湾も同じようです。ブラジルなどは②、アメリカ、中国などは③を採用しているようです。
準拠法がわかったところで、次に具体的にどんな手続きが必要になるかを書きたいと思います。次回から、
①相続人が日本国籍で海外に住んでいる場合
②相続人が外国籍の場合
という代表的なパターンについて説明します。