2017.09.20
法定相続情報証明
平成29年5月29日から、不動産登記手続きを司る法務局が新しいサービスを始めました。それが、「法定相続情報証明」です。サービスと書いたのは、これが無料の制度だからです。以前は登記簿謄本の取得に1通1000円(今は600円)という高額な手数料をとっていた法務局としては、大変画期的なことです。
以前書きましたが、相続登記には期限がありません。そのため、所有者が亡くなってから登記がされないまま長年経過している不動産が多くあり、政府はこれを「相続登記未了問題」として注視しています。所有者が誰かわからない状態だと、不動産の売買や開発の妨げになり社会経済上問題があるからです。
そこで考えたのが法定相続情報証明です。これは、相続手続きに使用する戸籍・除籍謄本等の束の代わりに、法務局が認証した相続関係の一覧図を使用するという制度です。今までは手続きをする機関毎に戸籍の束を提出する必要があり、提出する方もされる方も戸籍の確認やコピーに時間や手間がかかっていました。法定相続情報証明であれば、法務局が戸籍をチェックしてくれた証明になりますので、その手間が省けるというわけです。政府としては、これを相続登記未了問題解決のための手段の1つとしたい考えです。
現時点で法定相続情報証明を確実に使用できるのは登記手続きだけですが、一部の銀行で相続手続きに利用できるところもあるようです。今後認知度が高まっていって、すべての金融機関で利用が可能となることが期待されています。
なお、司法書士は、法定相続情報証明を取得する代理人になることができます。そのための戸籍等を職務上で収集することも可能です。不動産に限らず、預貯金や有価証券の相続手続きをお任せいただけますので、相続手続きにお困りの際には、是非とも当センターにご相談ください。