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相続税の申告実務のいろは ~下調べは急げ、遺産分割・登記・売却は急ぐな~

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※今回のお話に登場する「相続」は全て「申告が必要な相続」です。
ご自身の相続が「申告が必要な相続」かどうかはコチラ↓で確認してください。
https://www.sapporo-souzoku.com/tax/check.shtml

※相続税の申告期限までの全体像はコチラ↓で確認ができます。
https://www.sapporo-souzoku.com/tax/flow.shtml


相続税の申告・納税期限は原則として相続開始日から10か月後です。
今回はその申告期限までに"何を急ぐべきか、何を急ぐべきではないか"をお話し致します。


<急いでやるべきこと>
①相続人の調査(戸籍収集)
②遺言書の有無の確認(場合によっては①で集めた戸籍使う場合あり)
⇒相続人の調査、遺言書の有無の確認は相続手続きの中でも特に急いでやるべきものと言えます。
これらに共通する特徴は「比較的時間がかかる作業で、結果次第でその後の方向性が大きく変わる」ということです。詳しく見ていきましょう。

①相続人調査(戸籍収集)
ご自身に相続が起こったら、何よりもまず相続人調査(戸籍収集)を優先して行いましょう。
相続人調査を最優先で行うことには理由があります。

【理由1】
相続人調査にはある程度の時間がかかります。
調査とは言っても、実務上は"戸籍を集める作業そのもの"がなかなか大変です。
相続人の数次第では、数か月程度かかることもあります。
また集めた戸籍は、相続税の申告を含む様々な相続手続きにおいて必要となります。
最初に取得しておくことが、最も効率的な段取りと言えるでしょう。

【理由2】
相続人調査の結果、想定していた相続人と実際の相続人に違いが出ることがあります。
例えば、疎遠だった親族がすでに亡くなっており代襲相続が起きている場合や
存在を知らなかった隠し子が発見される場合などです。
相続人が増減すると、基礎控除額や遺産分割協議の当事者に変更が加わることになります。
これにより相続税の申告の有無が変わったり、遺産分割協議の事務手続きが変わることもあるでしょう。
相続人調査は今後の見通しに関わる最も重要な作業です。優先的に行うと良いでしょう。

②遺言書の有無の確認
相続人調査と同様、急いで行う必要があるのは遺言書の捜索です。
タイミングとしては①の相続人調査と同時並行して行うと良いでしょう。

【理由1】
遺言が自筆証書遺言だった場合、裁判所の検認手続きが必要です。
これには通常1~2か月程度の時間がかかります。
相続税の申告期限から逆算し"期限に間に合わない"と言ったことがないよう、早期に遺言書の有無を確認しておくとよいでしょう。

【理由2】
遺言書には、多くの情報が記載されています。
相続人は誰か、相続財産には何があるか、どのような分割となるかなど、その後の相続を決定付ける情報が記載されています。
相続人間で特に不満が無い場合は遺言書どおりに遺産を分けることも多く、遺産分割協議の手間も省ける可能性があります。
その後の展開が変わってくる可能性があるため、早いうちに遺言書の有無を確認しておくことをお勧めいたします。



<急いでやるべきではないこと>
③遺産分割協議
④不動産の相続登記
⑤相続した不動産の売却等
⇒上記の③~⑤は可能な限り十分な時間をかけて、慎重に行った方が良いでしょう。
これらは何故、慎重に行った方が良いのでしょうか。

【急いでやるべきではない理由1】
相続税の申告において税額を大きく下げることができる特例の一つに「小規模宅地の特例」があります。
「小規模宅地の特例」の詳細はこちらをご確認ください。
https://www.sapporo-souzoku.com/measure/tax.shtml
この特例には複雑な要件があり「誰が、どの不動産を相続し、いつまで保有したか」と言った外形が揃わないと利用できません。
上記の③~⑤はこの外形を決定付けてしまう要素に他ならないのです。
よく検討せずに③~⑤を完了してしまい、実際の申告の際に"小規模宅地の特例が利用できない"といったことにならないように注意しましょう。

【急いでやるべきではない理由2】
相続した不動産を売却される方は比較的多くいらっしゃいます。不動産を売却し利益が出ると譲渡所得税の申告・納税をしなければなりません。
特に譲渡所得税を下げることに着目すると、この売却にも手順とコツがあるのです。
節税を重視した場合、どのような方法が最も有利かは相続ごとに違うため一様ではありません。
しかし、より多くの選択肢から有利な方法を選ぶためには、③~⑤が完了していない状態の方が都合が良いのです。


当センターでは遺産分割の方法や、その後の不動産の売却等の処分まで見据えた様々なシミュレーションプランをご提案しています。
③~⑤がすでに完了しているケースでは、選択肢が限られてしまうこともあるのです。
相続税の申告があるケース、不動産の売却を予定しているケースでは、③~⑤を行う前にまずご相談を頂くことが、何よりの節税対策と言えるでしょう。


札幌駅前相続サポートセンター

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