2018.08.20
遺産分割協議がまとまらなかった場合の手続について①
これまで,亡くなった被相続人の法定相続人の間で遺産分割協議を進めるにあたり,さまざまなケースに応じた手続を説明してきました。
そして,法定相続人の間で遺産分割協議を進めてもまとまらなかった場合,遺産分割調停に移行せざるを得ないことも説明してきましたが,今回は遺産分割調停を進めるにあたっての手続の流れについて説明したいと思います。
遺産分割調停を申し立てることのできる申立人は,原則として法定相続人になります。
法定相続人が3名以上存在する場合,1人で申し立ててもいいですが,利害が対立しない法定相続人が存在する場合には,利害が対立しない法定相続人と共同で申し立てた方が,対立構造が錯綜せず,手続を円滑に進められる点でメリットがあることが多いです。
もっとも,法定相続人間で協議内容の一部に争いがあったり,一部に利害に対立がある場合には,調停手続の途中で申立人間で争いになってしまい,結果として調停手続を取り下げなくてはならなくなることも考えられますので,共同で申し立てるか否かは前記リスクを踏まえ法定相続人間でよく話し合っておく必要があると思われます。
他方,遺産分割調停を申し立てられる側の相手方は,申立人以外の全ての法定相続人になります。
これは,遺産分割調停においても,全ての法定相続人間で合意が形成されることが調停成立の要件になっていることから,全ての法定相続人が調停に参加する必要があるためです。
したがって,3名以上の法定相続人が存在する場合に遺産分割調停を申し立てるにあたっては,まずこれまでの遺産分割協議の状況を踏まえ,自分以外の法定相続人のうち利害が対立せず共同で申立てをする法定相続人がいるか否かを検討することになります。